私たちが暮らすこの現代においても、古来から続く風習や行事は、私たちの心と体に静かに寄り添い、気づきを与えてくれる存在です。6月の終わり、梅雨の湿気と暑さに心身が疲れ始める頃、「夏越の祓(なごしのはらえ)」という行事が日本各地の神社で行われます。それは、半年分のけがれや邪気を払い、清らかな状態で後半の半年を迎えるための大切な「浄化の儀式」なのです。
「夏越の祓」は、年に二度行われる「大祓(おおはらえ)」のうちの一つで、もう一つは12月の「年越の祓」です。6月30日前後に行われる夏越の祓では、知らず知らずのうちに積もった罪や穢れ(けがれ)を祓い、災厄を未然に防ぐことを願います。
この行事の象徴的な儀式が「茅の輪くぐり(ちのわくぐり)」です。茅(ちがや)で編んだ大きな輪をくぐることで、邪気を祓い、無病息災を祈念します。神話の時代にまで遡るこの風習には、目に見えない気の流れを整え、霊的なクリアリングを行うという意味が込められています。
(WELLCでは、2024年12月に青山熊野神社にて昇殿参拝を開催いたしました。関連コラムはこちらから。
青山熊野神社×WELLC 昇殿参拝を開催
神社の境内に設けられた茅の輪は、まるで時間と空間の結界のように、日常とは異なる「清めの場」を作り出します。その輪を左・右・左の順で八の字にくぐることで、体内に滞っていた邪気やネガティブな感情がそっと解き放たれていくのを感じる人も多いでしょう。
この行為は単なる「習慣」ではなく、心と体の浄化プロセスそのものです。輪をくぐる一歩一歩に、穢れが地に還り、新たな生命力が宿る――そんな日本人の自然観と霊性の深さが感じられます。
夏越の祓では、「形代(かたしろ)」と呼ばれる人型の紙に自らの名前を書き、息を吹きかけたり、体を撫でたりして、心身の邪気を紙に移すという儀式も行われます。そしてその形代を水に流す、あるいは神社で焼納することで、自らのけがれが祓われると信じられています。
ここでも重要なのは「意識すること」。形代に込めるのは、半年分の疲れや後悔、怒り、不安といったエネルギーです。それを外に出し、浄化することによって、人は新たな空気を取り込む準備が整います。
忙しない日々の中では、自分の内側に目を向ける時間がなかなか取れません。しかし、夏越の祓はそのきっかけを与えてくれます。自然と共に歩む日本の伝統行事の中で、心身を「リセット」し、「浄化」するというシンプルで力強い行為こそ、私たちの本質を取り戻す第一歩かもしれません。
この季節、神社での茅の輪くぐりに参加するのも良いですが、もし叶わないなら、自宅でも小さな浄化の儀式を設けてみましょう。半紙に不安や疲れを書き出して燃やす、白湯を飲んで体内を清める、アロマや塩風呂でのリラックスなど、自分なりの「祓い」を行うことが、確かに心を整えてくれます。
6月の終わりを迎える頃、日本では「夏越の祓(なごしのはらえ)」という行事が各地の神社で行われます。半年分の穢れや邪気を払い、心身を清めて後半の半年を健やかに過ごすための神事―。
この“祓い”という行為において、古来より重要な役割を果たしてきたものがあります。それが「塩」です。
ただの調味料ではない、清めの結晶としての塩の力。今回は、塩のスピリチュアルな側面とともに、夏越の祓と塩を結びつけた「現代の塩の浄化術」についてご紹介します。
なぜ塩が邪気払いに使われるのか?
塩は、「邪を祓う」「場を清める」ための霊的な媒介物として、世界中の多くの文化で神聖視されてきました。日本でも神事や葬儀の場では必ずといっていいほど塩が用いられます。
その理由は主に以下の3つです。
①塩の結晶構造がエネルギーを吸収・固定する性質を持つと信じられていること
②海のエネルギー(生命の源)を内包しており、浄化と再生の象徴であること
③腐敗を防ぎ、穢れを留めない=「清らかさの象徴」であること
こうした背景から、「穢れを祓い、清める」という意味において、塩は夏越の祓と非常に深い親和性を持っています。
夏越の祓 × 塩:日常でできる3つの塩の浄化術
神社での茅の輪くぐりや形代流しが難しい方も、塩を使った浄化習慣で心身をリセットすることができます。以下に、夏越の祓の時期におすすめしたい「塩の浄化術」をご紹介します。
1. 【塩風呂】半年分の邪気を湯に溶かす
バスソルトとして天然塩を使用することで、身体に付着した目に見えない穢れを優しく落とします。
天然塩(粗塩・岩塩など)を一握り湯船に入れ、アロマオイル(ヒノキやベチバーなど)を数滴垂らしても効果的です。
湯に浸かりながら「半年間ありがとう」と心で唱えることで、意識の浄化も促進
夏越の夜に行うことで、一種の“家庭での禊”となります。
WELLCセレクションの伊勢二見ヶ浦の天然焼き塩岩戸の塩は、岩戸の塩は海水のみを原料にし、添加物は一切使用していない国産の自然海塩二見ヶ浦の製塩の歴史は、遙か昔、天照大神(あまてらすおおみかみ)のお供として諸国を旅した倭姫命に、 佐見都日女命(さみつひめのみこと)が堅塩を献上したのが始まりとされています。
長い歳月に培われてきた経験によって生み出された製塩法は、現代も二見浦近くの御塩殿で 受け継がれ、伊勢神宮に奉納するための「御塩」がつくられています。
岩戸の塩
2. 【盛り塩】空間の浄化と結界の形成
玄関や部屋の四隅に小皿で盛り塩を置くことで、邪気の侵入を防ぐ結界が張られるとされます。
①新しい天然塩を使う(できれば清浄な意図で封を切ったもの)
②半月後に処分し、新しい塩に交換(穢れを抱え込まないため)
③意識的に「ここを清める」と念じながら置くのがポイント
特にこの時期、外からの疲れや重いエネルギーを持ち帰りやすい人におすすめです。
盛り塩をつくるのも、一苦労・・という方には、バリ塩の完全天日塩テジャクラの塩
は、大自然のミネラルバランスをくずさない、海そのままの「生」の塩。機械も使わず火も使わず、海と太陽とココナッツと職人の手仕事だけで作られ、手間隙かけた特別な製法に加え、自然の条件が整った時のみ採集できる、大変貴重な美しくも希少な結晶塩です。
自然の奇跡が作った<ピラミッド>のパワーを、ぜひ感じてみてください。
TEJAKULA バリ島のピラミッドソルト
3. 【塩で手のひら清め】簡易的なエネルギーオフ
疲れたと感じたとき、気分が曇っているときには、手のひらに少量の塩を取り、軽くこするようにして水で洗い流しましょう。掌(たなごころ)は“気の出入り口”。ここを清めることで、スッと意識が整い、不要な念が離れていきます。
塩は、海という大いなる母からの贈り物。人間の体液と海水のミネラルバランスが似ているように、私たちの本質には「海の記憶」が刻まれています。
つまり、塩に触れるという行為は、私たちが本来の自分=自然と一体である自分へと還る旅でもあるのです。
夏越の祓という節目に、塩で心身と空間を清めることは、ただの邪気払いにとどまらず、本来のリズムと繋がり直す再誕生の儀式にもなり得るのです。
神道の「祓(はらえ)」は、目に見えない穢れや邪気を祓う、日本ならではのスピリチュアルな文化です。その本質は、エネルギーの再調整にあります。現代においては、香りの力がこの「調整役」として、実に有効に働くことが分かっています。
植物から抽出された精油には、自然界の生命エネルギーが凝縮されており、心と体に作用するだけでなく、空間の浄化にも非常に優れた効果をもたらします。香りを用いた祓いは、いわば“見えない禊(みそぎ)”のようなもの。日常に取り入れることで、静かに、しかし確かに私たちの内側を整えてくれるのです。
「香りの静かな盾」とも言われるベチバーは、夏越の祓の時期にこそ取り入れたい精油の一つです。
ベチバーは、インドやスリランカなどの熱帯地域に自生するイネ科の植物。その根から抽出される精油は、深く重厚でスモーキーな香りを持ち、「グラウンディング(地に足をつける)」作用に優れています。
この香りは、心の奥に沈殿していた怒りや焦燥、不安といった内なる邪気を静かに浮かび上がらせ、浄化するのにぴったり。足元からエネルギーを整え、「今ここ」に意識を取り戻してくれるベチバーは、まさに“現代の茅の輪”とも言える存在です。
おすすめの使い方:
お香代わりにアロマストーンに1滴垂ら
足湯やバスソルトにブレンドして入浴時の邪気払い
就寝前、枕元に忍ばせて深い呼吸を促す
私たちの内側には、いつでも光が宿っています。ただ、日々の暮らしの中で邪気――それは他者の影響であったり、自分自身の感情であったり――が重なり合って、曇ってしまうこともあります。
夏越の祓は、その曇りを取り除き、内なる光をもう一度輝かせるための季節のギフト。大きく息を吸い、そしてそっと吐くように、半年分の邪気を手放して、清らかな心で後半の一年を歩み始めましょう。
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